すてきなスープ

君はなんだか偉そうになったね。今も好奇心をなくしていないといいんだが。

方向性の違いにより本日付でファンを辞めさせていただきます

突然ですが、朝と夜どちらが好きですか?

私は圧倒的に夜です。それも深夜。26時頃が一番好きです。実家のある三重の山奥で暮らしていた頃も、東京の喧騒のなかで暮らしている今も、夜の空気感と匂いが大好きです。私にとって夜とは寄り添ってくれるものであり、気を抜ける瞬間であり、空想にふける時間であり、誰かを想う時であり……要するに私は「夜」の存在自体を愛しているんだと思います。

だからなのか、私が好きになるバンドはどこか「夜の匂い」がするバンドが多いんです。夜の匂いって何だって感じですね。具体的には、曲のテーマが夜だったり、歌詞に夜あるいはそれに類似する言葉が入っていたり、曲の舞台が夜だったり、歌詞で明言していなくとも何となく夜っぽい雰囲気だったり……。最後はもはや主観でしかないですが、「このバンドは夜っぽい雰囲気だな」とか「このバンドはお日様の下が似合うバンドだな」と試しに振り分けていただくと、何となく分かっていただけるのではないかなと思います。

 

今から約10年前、18歳の頃、私は強烈な「夜の匂い」がするバンドに出会いました。友達が貸してくれたそのバンドのミニアルバムはとても抒情的で、夜の情景を妖しく美しく表現していて、私は瞬く間にそのバンドのファンになりました。すぐに彼らの過去のCDもすべて購入して繰り返し聴きました。私の大好きな夜の鬱蒼とした空気をかもしだす曲が多く、嫌いな曲はひとつもなかった。ライブも最高でした。その当時はまだそこまで人気のバンドというわけではなかったけど、彼らがライブで見せていた世界観は唯一無二だと本気で思っていました。いや、今も思い返してもあの当時の彼らのライブは本当に素敵だった。幸せだった。叶うなら、もう一度観たいと今でも思います。

その後、そのバンドはめでたいことに、大手レーベルからメジャーデビューすることが決定しました。この素晴らしい音楽をたくさんの人が聴いてくれる、彼らが長く音楽活動ができる可能性が高まった、彼らの曲をこれからも長く聴いていられる…そう考えると嬉しくて仕方なかったです。でも、私は知っていました。メジャーデビューしたことによって、音楽性が変わってしまうバンドがこの世界にはたくさんいることを。メジャーデビューが嬉しい気持ちと、彼らが変わってしまうのではないかという不安に揺れるなかで発売された彼らのメジャーデビュー1発目のシングルは、単刀直入に「夜」をテーマにした曲でした。タイトルを見た瞬間、とても嬉しくて泣きそうになりました。よかった、彼らは何も変わっていなかった。これからも私の好きな夜の世界を見せてくれる、と。でも、いざ曲を聴いてみると、心のなかが妙にざわざわし始めました。いい曲なのです、そして確かに「夜の匂い」がする曲ではあるのです。でも私には、その曲が「夜との決別の歌」に聴こえて仕方なかったのです。

悪い予感というのは、結構当たるものですよね。そのざわざわとした胸騒ぎは的中して、それ以降に彼らがリリースした曲は「夜の匂い」がするものではありませんでした。はっきり書くと、ポップになりすぎた。いや、別にポップでも何でも本当はよかった。それより、彼らの曲の舞台が明らかに「お日様の下」になってしまったことがショックでした。

そう、本当にあくまで主観でしかないんです。夜かそうじゃないかなんて。それは分かっています。結局のところ私がそのバンドに求めていた要素が、なくなってしまっただけということなんだと思います。でも、私はとても悲しかった。彼らは一生聴けるバンドだと思っていたから。勝手に期待して悲しくなって、自分は本当に厄介な奴だと思います。だけど、やっぱり、悲しかった。そして私はいつからか、彼らのCDを買うことをやめました。

その後の彼らは、おそらく世間でいうところの「成功」の部類に入るバンドになっていきました。メジャーデビュー後にファンになった方もたくさんいて、あの頃からは想像できなかった大きな場所で彼らは今もライブをやっています。私は勝手に「自分とバンドの方向性の違い」によってファンを辞めてしまったけど、今でも彼らがバンド活動を続けていることは単純に嬉しいです。いつか物販で話したメンバーさんは、みんないい人たちだった。彼らの目標や夢が叶ってくれているのなら、それ以上のことはないです。

 

と、ここまでが前提です。ここまでで約1700文字も打ってしまった。話が長いね。ごめんなさい。でも、この長々書き綴ったバンド以外にも音楽性が変わって……違うな、私が求めていた要素がなくなって興味がなくなってしまったバンドはたくさんいる。今はもはや好きなバンド自体が少なくなってしまった。でもそれは自然なことであり、人もバンドも、聴いている自分自身も、時と共に変わっていく。悲しいけれど、それはもう仕方ないことだと思う。

 

だけど、そんななかで一つだけ、

私のなかで異質のバンドがいる。

サカナクション」というバンドだ。

もはや説明しなくてもいいくらい人気なバンドだと思うが、紹介がてらに有名な感じの曲たちを。


サカナクション - 夜の踊り子(MUSIC VIDEO) -BEST ALBUM「魚図鑑」(3/28release)-


サカナクション / 新宝島 -BEST ALBUM「魚図鑑」(3/28release)-

 

私がはじめて彼らの存在を知ったのは2008年初頭だったと思う。さっき上で書き綴ったバンドのCDを最初に貸してくれた友達がサカナクションも好きで、アルバム『NIGHT FISHING』を貸してくれたのがキッカケだった。聴いてみたら素晴らしいアルバムだった。私の大好きな「夜の匂い」がして、一気に気になるバンドになった。はじめてライブを観たのは、2008年に大阪城野外音楽堂で行われたSWEET LOVE SHOWER 2008 SPRING EXTRA-FREEというイベントだった*1。そのイベントのトリがサカナクションだった。ラストに演奏していた「ナイトフィッシングイズグッド」という曲があまりにも素晴らしくて、猛烈に感動したことを今も覚えている。まさに夜をテーマにしているかのような曲で、歌詞もメロディーも秀逸だった。というか私のツボにドストライクだった。乾杯。だが、正直その当時のサカナクションは私にとって「普通に好き」という部類のバンドだった。その頃の私はいろんなバンドが好きで毎週バンドのライブに行っていたので、そのなかのひとつくらいの感覚だった。

 

だけど、今や彼らは私にとって数少ない「好きなバンド」になっている。大きな理由はやっぱり、彼らが今もまだ「夜の匂い」がするバンドだからだと思う。というか、匂いどころかサカナクションの曲自体が夜の具現化であるような感覚すらある。私はサカナクションがどのようなコンセプトや目標をもって活動しているのか全く知らない。わりと前から聴いている方だとは思うが、彼らの音楽性の変化とかも正直わからない。マメにライブに行っているわけでもない。だから多分、彼らのファンというわけではないのだと思う*2。確実に分かるのは、今も昔も、彼らの曲は夜を舞台にしたものがとても多いということだ。

作詞を担当しているボーカル&ギターの山口さんは、何かしら「夜」というものに対して想いを持っているのではないかなと思うくらい、彼らの曲には夜というワードがたくさん入っている。以下の曲もそうだ*3

 


サカナクション - さよならはエモーション (MUSIC VIDEO)

(3:07~あたり)

 


サカナクション - 僕と花(MUSIC VIDEO) -BEST ALBUM「魚図鑑」(3/28release)-

(1:07~あたり)

 


サカナクション - アルクアラウンド(MUSIC VIDEO) -BEST ALBUM「魚図鑑」(3/28release)-

(ご覧の通り、MVも歌詞も)

 


サカナクション / 『バッハの旋律を夜に聴いたせいです。』 -BEST ALBUM「魚図鑑」(3/28release)-

(この曲が夜でなかったら、何が夜だというんだ)

 

私が最初に好きになった「ナイトフィッシングイズグッド」は、夜の讃美歌だと勝手に思っています。自分と向き合う夜という時間の切なさや、それとは別に感じる夜の景色の美しさ、そういったものが乗ったメロディーがとても心地よくて、なんだか泣きそうになる。


サカナクション / ナイトフィッシングイズグッド -BEST ALBUM「魚図鑑」(3/28release)-

 

人生に絶対はないけれど、サカナクションが夜を歌ってくれる限り、私は彼らのことが好きなんだろうなと思う。ところで私は山口さんは夜が好きなもんだと思いこんでいるんですが、実際どうなんでしょうか?誰かご存知でしたら教えてください。

 ↓あ、サカナクションはもうすぐベストアルバムが出るみたいです。

 

p.s

ちなみに私が今まで観た全バンドのライブの中でも、2012年のRUSH BALLでのサカナクションのライブはベスト3に入るくらいすごかった。「アルクアラウンド」に入る直前にすごく大きな流れ星が流れていって、周りにいた人がみんなどよめいて。奇跡みたいな瞬間だった。セットリストも完璧で本当に最高だった。

もうひとつちなみに、このフェスに出演していた [Champagne](現[Alexandros])がこの時のサカナクションのライブを観て生まれた楽曲が「starrrrrrr」なんですよね確か。ボーカルの川上さん曰くサカナクションのライブの盛り上がりがすごくて「悔しかった」とのことですが、バンドマンでもない私でも正直「確かにな…」と思ってしまった。本当に神がかっていたから。ああ、久しぶりにサカナクションのライブ行きたいな

 

*1:と思う。ひえ…もう10年前じゃないか…

*2:自分でもよく分からない

*3:本当は歌詞を引用したいんですが、何だか最近いろいろと怖いので…あれ本当にどうにかならないんですかね…